2014年12月

125

研究経過 森川さん「呼吸様式と糖尿病との関連性」

セミナー 

山口医師「Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota

症例セミナー清水医師「S状結腸穿孔の一例」

 

1212

 

症例セミナー 田畑医師「全身倦怠感」

2014年12月19日  大学での日々

毎週金曜日は徳島中にちらばっている総合診療医達が徳島大学に集い、さまざまな臨床の問題を話し合います。また学生さんも自分の研究の成果を発表します。今週は地域中核病院の医師不足感、膵嚢胞性疾患のガイドライン、中毒をみたらといろいろな角度から勉強できました。学生時代はあんだけ勉強が嫌だったのですが、臨床で患者さんを見ていると知りたいことがたくさん出てきます。その都度勉強していく、勉強し続けるのが大切なんだと学生時代さぼったことに関してはうそぶいておきます。

 

研究経過 増田くん「徳島の地域中核病院の比較」

セミナー 清水医師「膵嚢胞性腫瘍のガイドライン」

 

症例セミナー 申医師「覚醒剤中毒の一例」

 

谷教授が不在であり熊のいぬまに洗濯と思ったのですが、何かぼんやりした感じもしました。やっぱり谷先生の存在感は偉大だなとあらためてしみじみと思いました。今年の医局会はこれで終わりです。そのまま地域医療サークルの忘年会に行き、来週は医局スタッフの忘年会。一緒に闘っている素敵な仲間達に感謝しています。

2014年12月12日 徳島大学総合診療医学分野にて

毎週金曜日、午後は徳島市民病院で心臓CTをおこない、その足で徳島大学の総合診療医学分野の医局会に出席します。そこでは全国に散らばっている総合診療医を目指す仲間が時間が許す限り参加して、また徳島大学の総合診療に興味のある学生さんと一緒に研鑽します。最初は大学ってところはなるべく離れて起きたい(学生時代に怒られ続けたので)ところだったのですが、臨床すればするほど、自分の能力の向上のため、また確認のために学会や論文の大切さがわかります。その分野をのばすのはやはり大学が最適だなって感じがします。

 また僻地医療をしていると、同じ総合診療でがんばっている仲間に会えるとまたがんばろうと気合が入るのでエネルギーチャージにもなります。


2014年11月

117

研究経過 夏井くん「海部郡内の救急搬送の傾向」

臨床セミナー山口医師「腰痛」

症例セミナー中西医師「コンパートメント症候群による横紋筋融解症」

 

1114

症例セミナー 谷医師「関節リウマチと生物製剤の副作用」

PC学会発表演習

森川さん「口呼吸と小児アトピー性皮膚炎との関連性」

庄野さん「新専門医制度について医学生の意識調査」

増田くん「へき地医療拠点病院における必要医師数の調査」

夏井くん「海部郡内の救急搬送の検討」

田中くん「学生実習地と卒後進路、勤務希望地との関連」

 

1121

セミナー中西医師「アルコール依存症について」

症例 山口医師「頭痛の鑑別(内頚動脈解離の一例)」

 

1128

研究経過 庄野さん「アンケート結果を元に」

セミナー 谷医師「胸部単純写真の読影」

セミナー 湯浅医師「PEM+Bedを外来にて安全に長期投与した進行肺腺癌」

2014年11月15日 プライマリ・ケア連合学会四国支部大会

総合診療医の集い、地域医療にどのような光を当てたら輝くのかをお互いアイデアを出し合い、研鑽しあう学会が徳島で開かれました。総合診療医になると決めて、毎年出ていると、このような四国限定のような集まりでは顔見知りが増えてきて、知識を集めるだけでなく、その人達に会える楽しみもあります。ルフィではありませんが、大切なのは同じ志を持った仲間ですよね。

 徳島大学総合診療医学分野から学生さんの発表5題、小幡先生の発表1題、演題としてあげました。医療をしているとこうしたらもっと医学が良くなるという気づきがあります。それを表現していく方法を身につけるために発表になれることは大切です。 

 また小幡先生は胸痛の臨床推論の講演をしました。臨床推論は総合診療医のメインスキルの一つです。よくわかってさすがでした。

 徳島大学総合診療医学分野のホームページにどんな感じが写真が掲載されているのでみてください。


2014年10月

103

研究計画 田中くん「利益相反について」

セミナー 谷医師「専門医制度整備指針」

症例セミナー 清水医師「デング熱」

 

1010

セミナー山口医師「イギリス学会報告」

研究経過 庄野さん「アンケート結果を元に」

 

平成261017

研究経過 森川さん「慢性炎症とは?生活習慣病との関連から」

 

 

1024

研究経過 増田くん「必要医師数の調査」

セミナー 田畑医師「高齢者の総合的機能評価」

症例検討 「左上葉の浸潤影」

 

 

1031

研究経過 田中くん「学生実習地と勤務希望地との関連性」

セミナー 谷医師「胸部レントゲンで認める異常影」

症例セミナー 申医師「アニサキス症の一例」


2014年9月

95

研究計画 増田くん「必要医師数の調査」

セミナー 湯浅医師「右眼窩から海綿静脈洞に転移を認めた胸腺癌の一例」

谷医師「Chylothoray and Chylous Ascites in a Patient with Uterine Cancer

 

912

研究計画 夏井くん「牟岐町・海陽町の救急搬送」

セミナー 山口医師「BMJ: An unusual case of epigastric pain

 

919

セミナー 小幡医師「意識障害にて搬送された80歳代女性」


2014年8月

お休み

2014年8月19日 申先生 徳島新聞デビュー

今年から南阿波総合医家庭医プログラムで研修をしている申先生が徳島新聞に掲載されました。海部病院で総合医の技術とマインドを、川島病院で透析の専門性を、大学で教育と研究のスキルを身につけて、どんどん成長していっており、将来が楽しみです。


2014年7月

74

研究計画 夏井くん「牟岐町・海陽町の救急搬送」

セミナー 山口医師「高尿酸血症・痛風の診断・治療」

症例セミナー 湯浅医師「スリガラス陰影を呈する肺疾患」

 

711

研究計画 田中くん「地域医療アンケート結果」

 

718

研究計画 庄野さん「在宅医療の政策や現状の検討」

セミナー 谷医師「膠原病の治療」

セミナー 田畑医師「ポートフォリオを作ろう」

 

725

研究計画 森川さん「睡眠時間と免疫との関連性」

セミナー 山口医師 「熱中症」

症例セミナー 中西医師「SFTSの一例」


2014年6月

66

抄読会 田中くん「地域医療実習による学生の意識変化」

症例セミナー 清水医師「内視鏡によるNBI観察の有用性」

症例セミナー 湯浅医師「尿管結石による急性腎炎から副甲状腺機能亢進症が診断された一例」

 

613

抄読会 庄野さん「在宅医療に関する医師の困難負担感の実感」

セミナー 谷医師「胸部XPの読影」

 

620

抄読会 森川さん「Analysis of the Reasons for Visits to a Clinic on an Isolated Island

セミナー谷医師「A case of sarcoidosis associated with chronic eosinophilic pneumonia. 

症例セミナー山口医師「慢性蕁麻疹」

 

627

研究計画 増田医師「必要医師数の調査」

セミナー 田畑医師「高血圧治療」

症例セミナー 清水医師「アメーバ性肝膿瘍の一例」


2014年5月

52

抄読会

庄野さん「在宅療養要介護高齢者の死亡場所ならびに死因についての検討」

森川さん「The Ecology of Medical care in Japan

プライマリケア学会予行演習

 

516

抄読会 増田くん「病院長を対象にした山口県内病院の必要医師数に関する調査」

症例セミナー 小幡医師「アナフェラキシーショック」

 

523

抄読会 夏井くん「地方都市鳥取と大都市東京との救急医療体制の比較」

セミナー 山口医師「研究実施計画書と統計解析」

症例セミナー 田畑医師「ポートフォリオを作ろう」

 

530

中西医師「発熱、心窩部痛を来した一例(肝膿瘍)」

2014年5月10日 第5回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会

今年は岡山県で開催されました。徳島から近くてよかったです。徳島大学総合診療医学分野から7題の一般演題の発表をおこないました。地域医療からも研究し、全国学会に発表できるんだぜっというのを感じてくれたらうれしいです。もちろん夜も盛り上がりました。7題もありますが、抄録をあげておきます。

O-048

地域中核病院における遠隔画像診断に基づく診療支援の有用性

林 宏樹1 三橋 乃梨子2 小幡 史明2 田畑 良2,3 森 敬子2 岡 博文4 谷 憲治3 坂東 弘康2 影治 照喜4

1自治医科大学医学部医学科

2徳島県立海部病院 総合診療科

3徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 総合

診療医学分野

4徳島大学病院 地域脳神経外科診療部

熊本大学医学部附属病院地域医療システム学寄附講座

【背景】

徳島県では過疎地域での医師不足が深刻な問題になっており、限られた医師に多くの負担を強いている。また、脳卒中や虚血性心疾患などの専門領域以外の疾患に対して診療支援を直接受けることができず、早期診断・早期治療が遅れるという事態をしばしば招いている。これらを解消する目的で、当院では2013年2月よりスマートフォンとインターネットにより専門医からの診療支援を24時間受けることが可能な海部病院遠隔診療支援システム(k-support)を導入した。

【方法】

本システム導入6ヶ月後にk-support 端末を所有している医師15名 (常勤医:9名、支援医師:6名)に対してk-support の有用性及び今後の問題点・改善点についてアンケート調査を実施し、rating scale の数字で回答してもらった。すなわちrating scale を1-2は否定的、3は中立的、4-5は肯定的な評価とした。回収率は100%で、回答者の属性は男性が12名

(80.0%)、女性3名(20.0%)であった。集計方法は単純集計を行った。

【結果】

利用者におけるk-support の有用性の有無については全体では「大変、少し助けになる」13名(86.7%)と回答があり、全体の約9割が有用性を認識されていた。他の医療過疎地域への新たな展開については「 とても、少し思う」10名(66.7%)とやや評価が厳しい傾向であった。支援医師の増員を望む診療科については脳神経外科、循環器内科といった緊急性の高い診療科に

対する要望が多かった。

【結論】

地域格差、病院格差の解消を目指すために二次医療圏の枠組みに囚われることなく、都道府県・地域の実情に応じた医療機関との連携体制の早急な構築が望まれる。

O-057

幼児の生活習慣と疾病罹患率の関連性の評価

山口 治隆1 多田 紗彩2 伊藤 潤1 中西 嘉憲1 田畑 良1 湯浅 志乃1 清水 伸彦1 河野 光宏1 谷 憲治1

1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部総合診療医学分野

2徳島大学医学部医学科学生

はじめに ヒト以外の哺乳動物は基本的には鼻呼吸であり、口で容易に呼吸できることは人体の構造的欠陥である可能性がある。口呼吸(mouth breathing)は鼻腔の加温加湿・フィルター機能をバイパスして下気道に達することから、慢性気道炎症に関与する可能性がある。口呼吸と疾病との関連を指摘する研究は少数みられるが、口呼吸があれば鼻呼吸に是正するよう指導がなされることは一般的にはない。本研究では、口呼吸者と鼻呼吸者の疾病罹患率(喘息、副鼻腔炎、中耳炎、扁桃炎、アレルギー性鼻炎/花粉症、アトピー性皮膚炎など)を網羅的に比較検討する。

方法 徳島市内保育所に通う2歳以上6歳以下の幼児を対象として生活習慣と罹患疾病などをたずねるアンケート調査であり、徳島大学医学部倫理審査委員会の承認を得た臨床研究である。アンケートの趣旨を説明し施設長の書面による同意を得られた13施設において、保護者へのアンケート配布・回収を実施した。アンケート項目において「ふだん口が開いていることが多い、いつも開いている」「起きているとき口で呼吸することが多い、口で呼吸している、鼻と口で呼吸している」「食事のとき口を開けて噛むことが多い、口を開けて噛むことも閉じて噛むこともある」に該当する児を口呼吸群と判定し、それ以外を鼻呼吸群とする。疾病の有無については、質問票において、アレルギー性鼻炎、ぜんそく、アトピー性皮膚炎などの疾病を列記し、複数選択可能な多肢選択式とした。IBM SPSSStatistics version 21 を用いて、口呼吸と各疾病罹患の有無をカイ2乗検定により統計学的解析を行った。

結果 対象園児数1036人、アンケート回収率52.9%、このうち有効回答539人を対象として解析を行った。口呼吸群(287人)と鼻呼吸群(252人)の疾病罹患率はそれぞれアレルギー性鼻炎16.4 vs.7.9% (p=0.003)、ぜんそく12.9 vs. 6.0%(p=0.03)、アトピー性皮膚炎16.4 vs. 7.1 %(p=0.001)であり、口呼吸群において有意に疾病罹患率が高かった。

O-110

救急隊への海部病院遠隔診療支援システム(k-support)の導入 ~救命率向上を目指して~

小幡 史明1 田畑 良1,2 森 敬子1 河野 光宏1,2 

影冶 照喜3 岡  博文3 谷 憲治2 坂東 弘康1

1徳島県立海部病院 総合診療科

2徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部総合診療

医学分野

3徳島大学病院 地域脳神経外科診療部

【背景】徳島県南部地域では常勤医師が絶対的に不足しており、限られた医師に多くの負担を強いている。また、専門領域以外の疾患に対して常にリスクを背負いながらの診療を行ってきた。このような徳島県内での地域間医療格差の是正及び海部病院常勤医の負担軽減目的に、当院では2013年2月よりスマートデバイスを用いた海部病院遠隔診療支援システム(k-support)を導入している。

【目的】救急隊による搬送の際、現場から患者到着までの間に担当医が得られる情報は限られており、到着後に診断を始めるため発症直後や搬送中の貴重な時間を有効に利用できていなかった。今回、我々はさらなる救命率向上にむけて「k-support」を救急隊にまで拡充した。

【方法】本システムはスマートデバイスを用いて、病院内で撮影したCT やMRI などの画像情報や患者情報を、登録デバイスにリアルタイムに転送することができる。2013年9月よりこのシステムを海南消防署牟岐出張所・日和佐出張所、海部消防組合海南消防署、室戸市消防本部東洋出張所に新たに展開し、導入4ヵ月での有用性について検討した。

【結果】救急隊参加の使用症例は76例、脳神経外科疾患は15例(19.7%)で頭部外傷7例、脳梗塞5例、脳出血2例、その他1例であった。救急隊が心電図やバイタルサインを添付したり、患者情報をツイートして情報共有を行った。また、心原性脳塞栓症に対してrt-PA を投与しdrip and ship 法を試みた症例を経験した。転帰としては、35例(46.1%)が当院入院、16例(21.1%)が高次機能病院に転院搬送となった。

【考察】本システムの導入は、本邦では初めての試みである。脳卒中や虚血性心疾患などの救急疾患に対して、初期対応の情報をシステム参加者に提供し共有することで、今まで以上に早期の的確・迅速な対応を行うことが可能となった。

P-065

徳島県南の僻地医療拠点病院による救急医療用ヘリコプター(以下ドクターヘリ)の利用状況

田畑 良1,2 森 敬子2 三橋 乃梨子2 小幡 史明2 浦岡 秀行2 岡 博文2,3 影治 照喜2,3 西田 結香4 中西 嘉憲1 清水 伸彦1,2 山口 治隆1 河野 光宏1,2 谷 憲治1 坂東 弘康2

1徳島大学大学院総合診療医学分野 2徳島県立海部病院

3徳島大学病院地域神経外科学診療部

4徳島大学医学部医学科

【はじめに】徳島県立海部病院は徳島県南部における地域の中核病院であり、救急指定病院でもある。施設間搬送が必要となる場合、従来は救急車での施設間搬送が中心であった。しかしドクターヘリ運用以降、施設間搬送にドクターヘリの要請も可能となり、徳島県南の救急医療にとって非常に有益であると考えている。

【方法】平成24年11月から平成25年11月までのドクターへリ要請した全49例を院内データベースおよび患者カルテからレトロスペクティブに検討した。患者の重症度を2つの基準で分類した。A. 緊急度: 1.J C S > 1 0 0 o r G C S < 8 、2 . B P < 9 0 m m H g 、3 .SpO2<90%or 人工呼吸器or 気道緊急の3つ、B.疾患分類:1.CPA、2.ACS、3.大血管疾患、4.

脳血管障害、5.外傷、6.敗血症、7.内因性疾患の7つに分類した。

【結果】緊急度基準を満たすのはA1:7例、A2:12例、A3:5例であり、49 例中23 例(47%)であった。緊急度基準を満たす群の疾患分類はB1:1例、B2:5例、B3:1例、B4:5例、B5:0例、B6:3例、B7:8例であった。緊急度基準を満たさない群の疾患分類はB1:0例、B2:7例、B3:1例、B4:10例、B5:3例、B6:0例、B7:6例であった

【まとめ】本研究ではドクターヘリの現行の要請基準を満たさない症例が半数みられた。高次機能病院への施設間搬送ではドクターヘリの要請に関して緊急度以外に、疾患別、陸路による患者への負担、また急変のリスク、県南の救急体制などを鑑みた新たな基準を検討すべきと思われる。

P-121

徳島県における小児救急に対する保護者の意識とかかりつけ医の重要性

西田 結香1 田畑 良2 藤本 稜1 多田 紗彩1 加藤 修平1 近藤 早紀1 原田 貴文2 梅谷 一公1 伊藤 潤1 中西 嘉憲2河南 真吾2 湯浅 志乃2 清水 伸彦2 山口 治隆2 河野 光宏2 谷 憲治2

1徳島大学医学部医学科

2徳島大学大学院総合診療医学分野

小児救急医療が崩壊の危機にあると言われている。この問題の背景として、患者側の質の高い医療の要求とそれに伴う専門医志向性、少子化や核家族化による保護者の育児不安の増大と緊急性を有しない患者の時間外受診の増加、医師の診療科偏在による小児科医の不足、地域のプライマリケアを行う医師の高齢化、時間外診療における小児科医や当直医の過重労働等があげられる。

徳島県では小児救急医療体制として、東部・南部・西部の3地区に分け、それぞれ夜間休日の診療を行う拠点病院(東部:徳島県立中央病院、南部:徳島赤十字病院、西部:徳島県立三好病院、つるぎ町立半田病院)を設けている。しかしながらこの体制では、地域により拠点病院までの距離が大きく異なることや、一部の病院への救急患者の集中により診察までの待ち時間の長さが問題となりうる。したがって、県内で実際に子供を育てている保護者が、現在の小児救急に対してどのような意識を持っているかを調査することは、これからの小児救急医療体制の改善策を考える上で重要であると考えられる。

今回我々は、県内の保育園や幼稚園に子供を預けている保護者を対象とし、VAS(Visual Analogue Scale)や多肢選択式を用いたアンケートを行うこととした。医療資源に恵まれた東部の結果では、夜間に子供の具合が悪い時、小児科医とかかりつけ医のどちらに診てもらいたいかという質問では、近くに小児科医がいてもかかりつけ医に診てもらいという群が多かった。またかかりつけ医の子供を診察する能力が高まれば近くのかかりつけ医に診てもらいたいと答えた群は62% であった。大人だけ診てもらっているかかりつけ医がいて、子供は別の小児科医に診てもらっているという群は56% であった。子供を診察する能力の高いかかりつけ医が地域の小児医療にとって重要な役割を果たすことが示唆された。医療資源の乏しい西部、南部地域と比較検討し発表する。

P-113

肺がん術後連携クリティカルパスが術後再発の早期発見および治療に有用であった1例

湯浅 志乃1 坂東 弘康2 広瀬 敏幸3 中西 嘉憲4 田畑 良4 清水 伸彦4 山口 治隆4 河野 光宏4 谷 憲治4

1徳島県鳴門病院 2徳島県立海部病院内科3徳島県立中央病院外科4徳島大学大学院総合診療医学分野

【背景】徳島県においては、同形式の肺がん術後連携クリティカルパス(以下、連携パス)を県下主要施設で使用している。今回がん地域連携拠点病院(A 病院)と地域の病院(B 病院)との連携により、術後再発の早期発見および治療に有用であった1例を報告する。

【症例】67歳女性、重喫煙者。X 年11月よりが咳嗽認め、かかりつけ医でXp 施行。異常は認めず、その後も症状が持続するため5か月後にB 病院でCT 施行したところ、左下葉に腫瘤影を認めた。気管支鏡検査で扁平上皮癌と診断され、A 病院へ紹介。A 病院とB 病院の連携にて治療を開始した。B 病院で術前化学療法を施行後に、A 病院でXX 年8月に左下葉切除、気管

支形成術を施行された。その後B 病院で術後化学療法を追加し、連携パスに沿ってB 病院で定期検査を継続した。術後6か月後の定期気管支鏡検査にて、気管支断端の再発を認めた。再度A 病院へ紹介し、放射線療法施行。その後もB 病院で検診を継続しており、現在術後2年を経過したが、再再発は認めず、生存中である。

【考察】徳島県南部では、地域拠点病院までの定期検査受診に際しても、遠方であるため患者負担が大きい。県下で同形式の連携パスを用いることにより、県南部の地域においても拠点病院と同様の術後定期検査を居住地の近くで受けることができ、検査などの受診に際しての患者負担が軽減されると思われる。

【結語】今回、連携パスを用いたことにより術後再発を早期に発見でき、治療にもつながった。連携パスは有用であると思われた。

P-263

へき地における医療満足度について

河野 光宏1 藤本 稜2 中西 嘉憲1 田畑 良1 湯浅 志乃1 清水 伸彦1 山口 治隆1 谷 憲治1

1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部総合診療医学分野

2徳島大学医学部医学科

【目的】へき地における医師不足が叫ばれているなか、へき地に医師を増やす策についての議論が多くされてきた。その一方で現場の医師が現在の環境の中で何を行うべきかを考えることも大変重要であり、へき地の住民の医療満足度、医師の信頼度の向上が医師不足解消へのカギとなるのではないかと考えた。そこで、へき地における医療満足度や、医師の信頼度を演者の出

身地である徳島県那賀郡那賀町(旧相生町)を参考に調査し、現在の医療に満足しているかを推測した。また、それらをより向上させるにはどのような手段が有効かをアンケート調査等から推測した。

【調査】那賀町役場相生支所に届いたレセプト請求書と、旧相生町内の医療機関に勤める医師がまとめたレセプト請求書を調査対象とし、それらを経年比較した。また住民の通院施設に対する環境や診療内容などのアンケート調査を行った。今回は医療機関利用率を住民の満足度とした。それを医療施設における診療内容と照らし合わせ、住民の満足度の推移を調査した。

【結果】旧相生町内医療機関受診率は、平成元年には約15%程度だったものが、平成25年には約40%まで増加していた。しかし右肩上がりに増加してきたわけではない。町村合併による病棟の閉鎖等により、現在の40%という値に落ち着いている。また、アンケート調査から、医療機関利用率をそのまま満足度と考えた点にも訂正すべき点が見つかった。

【考察】町村合併による病棟閉鎖は医療機関利用率を低下させる大きな要因である。しかしマンパワーの確保、コストパフォーマンス等の問題からも、利用率は高ければ高いほど良いというものではないことがわかった。また、医師の信頼度においても、高いほど人手不足となり、再び医師不足が感じられるようになることから、今後さらに考察を加える必要があると考える。

P-265

地域医療を守る住民啓発活動のあり方

湯浅 志乃1 加藤 修平2 中西 嘉憲1 田畑 良1 清水 伸彦1 山口 治隆1 河野 光宏1 谷 憲治1

1徳島大学大学院総合診療医学分野2徳島大学医学部医学科3年

【背景】徳島県は人口当たりの医師数が全国で三番目に多い県であるが(平成22年)、医師の地域偏在によって県南部や県西部では医師不足の問題が深刻である。県南部の中核病院である県立海部病院でも医師の減少による医療崩壊を認め、地域住民による「地域医療を守る会」が発足され、様々な活動が開始された。

【目的・対象】県立海部病院に勤務する常勤および非常勤医師13人(大学病院からの派遣を含む)を対象に徳島県の地域医療の現状と対策についてアンケート調査を行った。また、地域医療を守る会の住民啓発活動とその実質的な効果、そして今後の活動の検討を行った。

【結果】ほとんどの医師が医療人としてのやりがいを感じているが、診療面、生活面での問題点を感じていた。地域医療を守る会の認知度は勤務条件にも影響し、その活動に対する感じ方にも差を認めたが、勤務のストレス軽減につながっていた。今後求める活動としては、救急外来へのコンビニ受診に対する対策や、子供の保育制度の充実などがあげられた。

【まとめ】地域医療を守る会の住民啓発活動によって地域医療の問題を緩和する可能性があると思われた。また、地域医療を守る会によって、現在海部で勤務する医師には地域の魅力などは伝わっていたが、今後のさらなる医師数の確保には行政の力が不可欠であると考えられる。


2014年4月

411

研究室配属生紹介

症例セミナー 山口医師「CKD患者の治療」

 

418

症例セミナー 清水医師「急性出血性十二指腸潰瘍」

 

425

抄読会 

増田くん「全国の病院定数を対象とした我が国の必要医師数実態調査」

夏井くん「多人数参加型シミュレーターによるでんしトリアージシステムの有効性の検討」

田中くん「医学生の将来の進路に対する考え方:診療科目選考に対する分析」